◎図書館長・宇井頼三の溝の口周辺散策メモ=その2

高津図書館での発見は

萩坂 心一

 今回は、宇井頼三の本拠地、高津図書館を訪問してみました。
訪問の狙いの一つは、「明治時代の溝の口」を実感できる資料を見つけてみたい、ということです。探すこと一時間、『私たちの高津―高津小学校創立六〇周年記念誌』という本を見つけました。明治時代の小学校生活の様子がよくわかります。
 当時の授業開始は朝八時、六・七月は朝七時! 『わが町・溝の口』で、子供たちが「一鈴」を聞いて慌てるシーンがありますが、早朝だと思えば、演技にリアリティーが出るでしょうね。また、当時の小学校では、成績が悪い生徒は「落第」が当たり前だったようです。160123_1924~01

 劇中で、男の子が食事中でも必死になって漢文を暗記して、お母さんに怒られるシーンがありますが、これまたリアルな必死さ・切迫感が求められますね。子役だけでなく、みんなに知ってほしいと思い、本の抜粋を印刷して、劇団員全員に配りました。さて、訪問の二つ目の狙いは、私の台詞の裏付けを取るためです。
 宇井頼三の台詞で「(貝塚での)出土品の一部は、当高津図書館、郷土資料室にも展示してございます」というのがありますが、果たして今でも展示しているのかを確認したかったのです。隈なく館内を見回ってみましたが、どこにもそんなものはありません。

 そこで図書館の人に長岡台本を見せ、確認を求めたところ、その女性の方は、「ちょっとお待ちください」と言って、奥に引っ込み、いろいろ調べてくれたようです。

 待つこと10分、「今の図書館は移転後のもので、たぶん移転前の高津図書館には展示してあったものと思われます…」。なるほど、確かに長岡台本の上演時期は移転前のことです。

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高津図書館

 「それらの出土品は、今、どこにあるんでしょうか?」と尋ねたら、すぐにネット検索をしてくれ、「どうも、市民ミュージアムにありそうですね。詳しくはそちらにお尋ねください」と明快なお答え。
 というわけで、次回は、等々力にある市民ミュージアム訪問記を書きまーす。
お楽しみに!  (了)

◎図書館長・宇井頼三の溝の口周辺散策メモ=その1

「久末の義民地蔵」の由来

萩坂 心一

 郷土愛あふれる宇井頼三なら、きっと溝の口周辺を歩き回って、いろんなことに感動しているに違いないと妄想し、私も「追体験」してみました。最初に訪れたのは、横浜との境に近い、久末の妙法寺です。ここに、宇井頼三が熱く語る「義民地蔵」が安置されていると聞いたからです。151203_1343~01

 「義民地蔵」とは…
 江戸時代、過酷な年貢の取り立てに抗議し、農民たちが領主に引き下げを要求したら、なんと願い出た19人の命が領主のもとで奪われた。それに怒った村人たちが、隣村の農民たちも巻き込んで大挙して押し寄せた結果、領主がやっと年貢の引き下げを認めた。
 久末の人々は、19人の遺功をたたえ、御霊を安んずるために、お地蔵様を作った。

 これが、「久末の義民地蔵」の由来です。長岡台本の初演時は、中原街道沿いのバス停近くにあったようですが、その後、小高い丘の上にある妙法寺に移設、安置されました。写真でわかるように、地蔵尊は二体、それぞれ違う時期に作られたものです。その横には、きれいな案内板があり、非常にわかりやすく説明されてます。84-8l12ee1f482ff943f738537c065a035186

 今から30年ほど前、地元の世話人の方が作った短歌を紹介します。

 「慎みて 十九のみたま
  とこしへに 鎮まりませと
  香たてまつる」

 

 

 なお、この「義民地蔵」は、「かわさきの昔話」としても伝わっていて、地元の民話作家・萩坂昇さんが、ドラマチックに書き残してくれてます。

 虚実取り混ぜた、実に面白いお話に仕上がってますよ。
 ちなみに、萩坂昇さんは、私の叔父、すでにあの世に旅立たれました。不思議な縁ですね。合掌。  (了)079f48f78900b273106e24887ba08e0e

◎上村主筆の取材雑記帳=その1

『溝の口』―登場人物名にも翻案の妙技

 『わが町―溝の口』、原作『Our Town』の登場人物一覧を眺めていて驚いた。
 『Our Town』グローヴァーズ・コーナーズの出来事を巧みに溝の口に翻案した長岡輝子氏には、登場人物名の翻案にも工夫があった。こうしたところにも長岡氏のこだわりと、ちょっとした遊び心が見える。
 原作の主な登場人物は;
 ギブズ医師、ジョー、サム・クローエル、ハウイ・ニューサム、ジョージ・ギブズ、レベッカ・ギブズ、ウォーリー・ウェブ、エミリー・ウェブ、サイモン・スティムソン、ソームズ夫人・・・。

 例えば溝の口新報の上村(うえむら)主筆、なぜ”かみむら”ではなく、”うえむら”なのか、原作がWebb氏~ウェブ~ウエぶら≒うえむら。ちょっと苦しいところだが、”かみむら”ではないことが推察できる。むろんエミリー≒恵美、ジョージ≒丈吉、サイモン・スティムソン≒細門龍之介、ソームズ夫人≒そめ、あたりは分かりやすい。

IMG_0001 そして出色の名前は、
 ▼町の歴史や風土の解説役ウィラード教授~宇井頼三(高津図書館長)…ウィラーぞ~ういらいぞ≒宇井頼三(笑)
 ▼新聞配達(弟)のサイ・クローエル≒斉藤九郎
 ▼牛乳配達のハウイ・ニューサム~灰田新三(豆腐屋)…ハウい~ハウイダ~はいだ+ニュー=新+サム=三。英語の”new”を「新」に、”some”を読みで「三」、合わせて新三というわけだ。

 長岡さんの注力には頭が下がる。
 しかし、わが、ふじたあさやさんにも『わが町しんゆり』では、ウィラード(日本語で”柳”)教授=柳教授という命名があったことを付記しておきたい。  (了)

◎迎春―ふじたあさや氏 新春特別インタビュー

 新しい年を迎え、3月の『わが町―溝の口』公演にあたって、演出家ふじたあさや氏にインタビューを行った。この中でふじた氏は、40年前の名作を再演する意気込み、見どころなどを語った。

ふじたあさや氏

『わが町―溝の国』ついて語る ふじたあさや氏

―再びわが町ですが?
 『わが町』をこんなに広めたのは、長岡輝子さんの功績だと思うんですよね。
 その長岡さんが最初に『わが町』を日本の現実に置き換えてやってみようと思って試みたのがたまたま川崎の溝の口で、その『わが町―溝の口』というのが川崎の市民文化賞を貰ったんですよ。
 (初演したのは多摩芸術学園=現・多摩美術大学)その学校(多摩芸術学園)がなくなっているので継承する集団がなくなり、作品としてやる人がいなくなった。作品はよくできていて、もったいない。それを何とか舞台に乗せて、同じ川崎のことですし市民劇団が上演するには相応しい作品と思えるものだから、やろうよということにしたわけです。

―作品の見どころは?
 溝の口という場所で長岡先生が何を考えていらっしゃたかということを何とか再現する形にしたい。ひとつの海外の作品を日本の風土に置き換えていく…、精神世界からというと違うものですよね、キリスト教社会だし…。それを日本の社会に置き換える作業というのはわれわれみんな苦労するわけで、長岡先生はそういう苦労の一番手だったのです。そこを追体験したいなという思いがあります。学ぶところはいっぱいあると思います。
 (『わが町―溝の口』は)なかなかよくできていますよ。昔の溝の口の雰囲気がよく出てますしね。この間みんなで行ったのよね、あそこは結構昔が残ってますしね、いいところでした。

―長岡さんの初演から40年過ぎていますが?
 そう、40年なんですよ!40年もたつと、あったものもなくなっていますから、逆にやる意味が、もうひとつ加わった感じですね。40年前の現実の中で語られた言葉が、今語るとあるはずのものがなくっているわけですよ。「今はもうなくなってます」という言葉を、やっぱり何か所か付け加えています。付け加えざるを得なかったことが、ある意味つらいところもありますけどね。

―今回の演出について
 新百合ケ丘だから、溝の口だからといって特に異なるところはありません。
(劇団員は)みんなうまくなってますからね。「構え」が取れてきているので、前よりも楽に到達点に行くんじゃないですかね(笑)  (了)

◎次回公演『わが町―溝の口』

 劇団わが町は、『わが町―溝の口』を川崎市アートセンターアルテリオ小劇場にて上演します。上演は2016年3月10日(木)から13日(日)まで。

 『わが町―溝の口』は長岡輝子さんの翻案、演出により、昭和51年2月、多摩芸術学園(現・多摩美術大学)の卒業公演として、川崎市立高津区民ホールで初演。
ソーントン・ワイルダーの名作『わが町』にある普遍的な「日々の生活のすばらしさ」を、 川崎の風土、明治と言う時代背景に丁寧に置き換えることで、自分たちの生活を自分たちの言葉で語る 『わが町―溝の口』を完成させました。
 40年の時を経て、市民劇団・劇団わが町が川崎市の財産ともいうべき『わが町―溝の口』に出会い、私たちの『わが町』をさらに知る旅を始めます。

 川崎市文化賞を得た幻の名舞台!40年の時を超えて、今よみがえる!――
どうぞご期待ください。
わが町―溝の口フライヤー表わが町―溝の口フライヤー裏

しんゆりシアター
劇団わが町 第5回公演『わが町―溝の口』

◎公演日時
2016年3月10日(木)~13日(日)
10日(木) 19:00開演(ゆり組)
11日(金) 19:00開演(さくら組)
12日(土) 14:00開演(さくら組)/18:00開演(ゆり組)
13日(日) 13:00開演(ゆり組) /17:00開演(さくら組)
開場は開演の30分前

◎【一般発売】2016年1月19日(火)
◎【料金】=一般 2,500円/小学生以下 1,000円(全席指定・税込)

※3歳以上のお客様はチケットをご購入ください
※小学生以下のチケットは窓口販売のみで取扱いしております
※車椅子でご来場のお客様は当日のスムーズなご案内のためチケット購入後、
 事前に川崎市アートセンターまでご連絡をお願いします

【取扱い】川崎市アートセンター
窓口販売 9:00-19:30(毎月第2月曜除く)
電話予約 044-959-2255(9:00-19:30 土日祝・毎月第2月曜を除く)
Web   チケット購入はこちらから

来春3月公演に向け本格稽古中

 劇団わが町では、来春公演に向けて夏から始まった稽古が一層熱を帯びてきました。
DSC_0831  12月からは大谷賢治郎氏も演出に復帰し、団員らも気を引き締めています。

 

 

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 演目についてはなお未公表ですが、今回は原点に立ち返り、地元と密接な関係があるものになる予定です。もちろん、数々のサプライズもお届けします。チラシができ次第、詳細をいち早くお知らせしますのでお楽しみに。

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◎『わが町しんゆり』出演者インタビュー最終回

ウェブ編集長役:高取良典さん

 劇団わが町の旗揚げ公演『わが町しんゆり』の主な出演者 のインタビューをシリーズでお届けしてきましたが、最終回はウェブ編集長役を演じた高取良典さん。
 高取さんが前回アルテリオ劇場の舞台に立ったのは、約1年前のヤングミュージカル『青い鳥』。チルチルとミチルのやさしいお祖父さんと父の二役でした。さて、今回は愛娘エミリーの父親で、新聞の編集長のウェブ氏です。ウェブ氏とはどんな人物だったのでしょうか。

◎『わが町しんゆり』出演者インタビュー⑧

ウェブ夫人役:日野順子さん

 シリーズでお届けしている、劇団わが町の旗揚げ公演『わが町しんゆり』の主な出演者のインタビュー。第8回はウェブ夫人役を演じた日野順子さん。
 エミリーの母としてウェブ家を切り盛りするウェブ夫人。そこにはいないエミリーを相手の熱演は圧巻でした。今回もぜひご覧ください。

◎『わが町しんゆり』出演者インタビュー⑦

和田夫人役:山田スミ子さん

  シリーズでお届けしている、劇団わが町の旗揚げ公演『わが町しんゆり』の主な出演者のインタビュー。第7回は和田夫人役を演じた山田スミ子さん。
 多忙な医師の夫人と、やんちゃな健一の母を演じた今回の舞台はどうだったのか。そして挙式を控えた両親の気持ちは・・・。山田さんが笑顔で語ってくれました。

◎『わが町しんゆり』出演者インタビュー⑥

加藤夫人役:田中千恵美さん

 シリーズでお届けしている、劇団わが町の旗揚げ公演『わが町しんゆり』の主な出演者のインタビュー。第6回は加藤夫人役を演じた田中千恵美さん。
 戦雲高まる時代の日本。新聞社の編集長の妻をどう演じたのか。そして今回の芝居で得たものは・・・。昭和の女を見事に演じた田中さんが語ってくれました。